Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
テレビを見ながら眠ってしまったようで、テレビの騒がしい音で目を覚ました。


カーテンも開けっ放しで夕陽が部屋の中に射し込んでいる。


部屋を一通り見渡すが、誰も来た気配がない。


お母さんどうしたんだろ……。


買えなかったとかで顔を出し辛いのかな?


寝起きの頭でそんな事をぼんやり考えていると、ノックも無しにドアが開きお父さんが部屋の中に入ってきた。



「ノックも無しに入ってきたらビックリするじゃん!!」

『…………』



お父さんからの返事はなくて、更に文句を言おうと口を開いたけど、言葉を発する事が出来なかった。


お父さんの目が赤かったから…泣いた後みたいに………。


口を開いたお父さんの動きがとてもゆっくりに感じた。


そして、お父さんの口から出た言葉を聞いて、私の頭はまるで考える事を止めてしまったかのように、真っ白になった。









『お母さんが……死んだ』






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