Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
『あれ?先客かよぉ』



ここはあまり人が来ることはないのに、男の人の声がして私の肩は跳び跳ねた。


驚き過ぎて、自分が泣いている事も忘れ私は振り返った。



『あぁ…しかも泣いてんのかよ』

「違ッッここ使うならどうぞ!!私もう出るからッッ」



この時初めて京ちゃんと出逢った。


暗い室内でははっきりと顔は見えなくて、しかもなんだか面倒臭そうな態度が失礼で…でも、入院してからは腫れ物を扱うかのように扱われてきたからか、不思議と心が軽くなっていく気がした。



『俺はそんな長く居る気ねぇから気にすんな』



それが気にすんなって言う人の態度!?


私が黙っていると、車椅子に乗った京ちゃんは何故か私の横に来て外を眺めだした。






< 145 / 253 >

この作品をシェア

pagetop