Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
私は一緒に空を眺めたけど、涙が止まらなくてやっぱりぼやけた景色が広がっている。


それどころか、無言でいることが嫌で何か話さなきゃと思えば思うほど一人落ち着かなかった。



『俺ここ来たの初めて。でも、もう来ねぇだろうな』

「…何で?」

『明日手術だから』

「術後に来ればいいじゃん」



私の言葉に答えないで、少し寂しそうな笑顔を見せる。


そして私の顔に手を伸ばしたかと思うといきなり頬を摘ままれた。



「にゃ、にゃにしゅんの!?」

『辛気くせぇ顔していつまで泣いてんだよ。話してみ?喋る気がねぇならさっさと泣き止め』



その言葉に私の目からは更に涙が零れ落ちた。


ただ単に自分の話をしたくなかったから、私の話を聞こうとしただけなのかもしれない。


だけど、今出逢ったばかりでお互い何も知らない同士だからこそ、私は胸のうちを素直に話せたんだと思う。






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