Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
化粧も髪型もばっちりにして、洋服に着替えた。


病室を出る時は勿論忘れずにコートも羽織って、バッグも手に持って出た。


ここまで徹底してたら、病室から出て来るところを見られない限りばれないでしょ。



二度目に運ばれてきてからずっと入院している京ちゃん。


何度か病室に会いに行ったけど、様子は入院前と変わらない。


だけど、私の中ではそれが凄く不安で堪らない。


平然を装っているだけで、京ちゃん自身も本当は不安でいっぱいな気がするから。


成瀬 京と書かれたプレートがさしてある病室の前で足を止め、いつものようにノックした。



『はい』



そして中からはいつものごとく、愛想のない返事が返ってきた。






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