Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
体温計が熱を測り終えたと音を立て私たちに知らせる。


私は体温計を昴先生に渡した。



「心が辛いときもちゃんと昴先生を頼ります。でも今は、ワガママを聞いてもらいたいんですけど……」



体温計に表示された文字から私の方へ目を向け、更に渋い顔をされる。


熱は自分で思っていたよりも高いようだ。



『この数字を見る限り、そのワガママを聞くわけにはいかない様だ』

「まだ何も言ってないのに…」

『成瀬君絡みだろう?』



昴先生をすがる様に根気良く見詰めていると、大きなため息を吐かれてしまった。



『聞くだけ聞いてあげるよ』

「夜京ちゃんと展望室で星を観る約束をしてるんです」

『とりあえず点滴で様子をみよう』

「昴せんせぇい……」



初めてかもしれない。


昴先生にこんなに露骨に頭を抱えられてしまったのは。






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