Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
俺が入院してから母親は頻繁に顔を出してくれている。


家から荷物を持ってきてくれるのも母親。


親父は一度も来ていない。


親父は自分に息子がいるという事実を消したいのかもしれない。


俺が死ねば清々するだろう。



「せっかく綺麗な星空を観に来たのに、俯いて怖い顔してどうしたの?もしかして具合悪い??」

『いや、何でもねぇよ』



まりあは納得してないという顔を見せたが、踏み込んじゃいけない領域だと思ったのか、理由を聞いてはこなかった。


こいつはいつもそうだ。


普段は思った事をハッキリと言うくせに、自分と相手との距離感をよく理解している。


最初はそれが凄く楽だと思った。


だけど今はその距離感という壁が疎ましく思う。






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