Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
『言いたいことがあるならいつもみたいにハッキリ言え』

「聞いて欲しいなら聞いてあげるよ?」



悪戯顔でそう言ったまりあの頭を軽く小突いた。


内容までは分からないまでも、いい話ではないことを察したまりあなりの気遣いだろう。



『俺んとこの親、別居してんだよ。親父は大手製薬会社の社長だからか、世間体を気にして離婚はする気はないみてぇだけど』

「そう、だったんだ…。今はお母さんと暮らしてるの?」

『いや親父、お袋が出てったんだよ。外に女つくってろくに家に帰ってこなくなったことに愛想尽かしてな。だからほぼ家には帰ってこねぇから、一人暮らしみたいなもんだな』



まりあは病院でお袋と1,2度会ってるから、お袋と住んでると思ったんだろうな。



「一人は…寂しいよね」



まりあは温かい家庭で育ったんだろうなと思った。


別居しだしたのは俺が中3になってからだったということもあるかもしれないが、今まで寂しいなんて思ったことは一度もない。







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