Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
まりあの口から俺以外の男の名前が出るだけで嫌な気持ちになる。


こんなことで勝手にヤキモチ妬いて、1人で怒って……。


俺はこんなに心が狭い奴だったんだなって思った。



『……まりあ』

「な、に?」

『もう、帰れ』

「……えっ?」



まりあは聞こえなかったとでも言うように、今にも零れ落ちそうな程目に涙をため、首を傾げた。



『もう帰れって言ったんだよ』

「まだ…来たばっかり、だよ?なん、で…そんな事言うの?」



今度は俺がまりあの言葉が聞こえなかったように話を進めた。



『病室出たらもう俺の病室に来るな。治療に集中したい』

「そんなのッッヤ、ダッッッ!!!」



流れ落ちる涙を拭うことなく俺の目を捉え必死に喋るまりあ。


俺もまりあから目線を外そうとはしなかった。





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