Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
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京ちゃんからもう来るなと言われた。


それも突然。


治療や入院生活のせいで情緒不安定になってるのかもしれない。


それでも、今の私にとっては辛すぎる宣告だった。



「やっぱ…出来ないや……」



来るなとは言われたけど、体調の良い時は京ちゃんの病室まで足を運んでいる。


ただ、いつもノックしようとドアの前で拳を作るが、ドアに当てることは出来ないでいる。


今日もそうだ。


あの時以上に冷たい目を向けられたらと思うと、怖くて後一歩踏み出すことが出来ない。


私の目線より少し上にある成瀬 京と書かれたネームプレートを暫く眺め、私はその場を後にした。





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