Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
京ちゃんの部屋に入れなかった時は、暗い気持ちのまま病室に戻りたくなくて、いつも院内をブラブラしている。


なんの気分転換にもならないのに。


子供たちのところに行こうかとも思うが、こんな暗い雰囲気で行っても逆に心配を掛けてしまいそうで、行けなかった。


子供たちは驚くほど敏感に大人の感情を読み取るから。



「あれ………」



VIPの入り口を出ると、VIPのロビーで悩ましい顔をして音葉さんが座っていた。



「隣、いいですか?」

「えっ、あっ、まりあちゃん…どうぞ」



下を向いていた音葉さんは私の声に驚いていたが、笑顔で隣に座ることを了承してくれた。



「京ちゃんに会いにきたんですか?」

「そうなんだけど最近機嫌悪いのよね、京の奴……」



私には来るなって言ったくせに、音葉さんとは会うんだ……。


知らない間に嫌われてたのかもしれない。


子供のワガママだと思って、私に合わせてくれてただけなのかもしれない…。





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