Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
「今は入院生活のストレスがたまってるだけですよ、きっと」

「そうだといいんだけどね…京の機嫌はどうだった?」

「えっ?」

「京に会ってきたんでしょ?」



音葉さんは京ちゃんから何も聞いてないんだ。


言うべきなのか、言わないべきなのか悩んだ。


自分で誰かに、それも音葉さんに京ちゃんに言われたことを話すのは正直辛い。


でも…もう見栄を張っている場合じゃないこともよく分かってる。



「……京ちゃんとは会ってません。病室の前まで行ったんですけど、引き返してきました」

「どうして?喧嘩でもしてるの?」

「喧嘩じゃない…と思います。京ちゃんからもう病室に来るなって言われました」



涙を流さないように、笑って音葉さんにそう告げると、音葉さんの方が悲しそうな顔をした。


私の気持ちに気付いているからだろう。


音葉さんは気の強いところはあるけど、きっと芯が強くて心の優しい人だと思う。


おまけに美人。


京ちゃんと並んでたら美男美女でお似合いだもん。





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