Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
私は封筒を引き出しから取り出し、お父さんに差し出した。


お父さんは少しその封筒を受け取ることを躊躇していたけど、受け取ってくれた。



「今見てくれてもいいし、別の日でもいい。だけど、私が生きてる間に見て欲しいの」

『…分かった。落ち着いたら真由と海と一緒に見てもいいかな?』

「勿論。みんなで見てくれたほうが嬉しい」



私は大津先生の方に向きなおし、聞きたいと思っていたことを口にした。



「今の治療を止めたら、私の余命はどのくらいですか?」

『………恐らく一月。ただこれは単なる大よその目安であって、必ずしもそうとは限らない』

「それより長くなるかもしれないし、短くなるかもしれないって事ですよね?」

『…そうだよ』



私の命は後一月………。


それまで頑張りたいことややりたいことがある。


早く終わらせなきゃ…余命は生きていられる期限。


自由に動ける期限ではないから。





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