Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
辛いときも、悲しいときも、楽しいときも、嬉しいときも…どんな時も京ちゃんの笑顔が頭に浮かんでた。


だけど今は違う。


最後に見せた冷たい目をした、まるで知らない人のような顔が浮かぶ。


京ちゃんを元気付けたくて足を運んでた。


でもそれは自分のためでもあった…死の恐怖を少しでも忘れたかった。



「怖いよッッ…京ちゃん……助、けてッッ………」



一度怖いと思うとその恐怖は中々おさまってくれない。


膨れ上がるだけ膨れ上がって、小さくなっても私の心に張り付いて離れようとしない。


今までは治療を頑張ればって思ってた。


病状が良くならなくたってなんとかなるって思ってた。


現実から目を逸らしてただけ。


現実から逃げるのを止めようと思った…向き合おうと思った……でも、病気のせいで震えてるのか怖くて震えてるのか分からない時、また逃げたくて堪らなくなる。





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