Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
ベッドの横に腰掛けるような音がした。


そしてまた昴先生はゆっくりと話を始めた。


まるで私が起きていると分かっているような話し方で……。



『ベッドに潜って寝てるって事は泣いてたのかな?たった1人で……結局僕はまりあちゃんには何もしてあげられないのかな?……頼りにならなくてごめんね』



昴先生……。


私の目からはまた涙が流れ落ちる。


昴先生は何も悪くないのに…悪くッない、のに……。



『病気がどれだけ怖いものかはたくさん勉強して分かってる。だけど、その病気を抱えたまりあちゃんの心の苦しみは分かっている様で何も分かってない。分かっている気になっているだけだ』



そんなのきっとお互い様。


私だって治療する側がどんな思いを抱えて患者に接してるのか全ては分からない。



『まだ先生でもなんでもないただの研修生に一体何ができるのかって言われたら…情けないけど何も出来ない…ただただ、謝ることしか出来ない……』






< 192 / 253 >

この作品をシェア

pagetop