Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
椅子が動く音がして、昴先生が立ち上がろうとしているのが分かった。



『まりあちゃん、おやすみ』



私は布団から出て、昴先生の腕を後ろから掴んだ。


振り向いた昴先生は酷く驚いた顔をしている。



『ま、まりあちゃん!?起きてたの!?』

「そんな悲しいこと言わないで下さい!!私、昴先生のお陰でたくさん笑ってるし、癒されてるし、ご飯だって食べられてるんですッッ」



昴先生はまた椅子に座りなおし、泣きそうなほど切ない笑顔を向け私の頬を伝い流れ落ちている涙を優しく拭ってくれた。



「死にたくないってッ思ってるのに、体はどんどん弱っていくッッ……ずっとみんなとッッ一緒にいたいッッッ」



昴先生は優しく包み込むように抱きしめてくれた。


まるで子供をあやすかの様に。



「すばッる、先生……こんな姿見られたくッないんです…元気な姿だけをッ覚えてて、ほしッッいんです……京ちゃんにはッッ」

『大丈夫だよ、成瀬君にとってまりあちゃんはきっと愛らしくて天使のような女の子だよ』

「ッッアハハ…私ッのこと小悪魔だって、言ってたッじゃないです、か」



昴先生の胸に顔を埋めたまま、泣きながらだけど笑って話すと昴先生も笑ってくれた。





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