Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
ひっぱたかれた左頬を擦りながら男は気だるそうに振り向いた。


あっ……。


目的地に着く前に目的の人物にこんなところで会うなんて。



「自業自得だねぇ」

『あ!?お前誰だよ』



私は彼に近付いた。


嬉しい気持ちを隠しながら。



「私はまりあ。貴方は?」

『…京(キョウ)』



嘘。


本当は知ってる。


久しぶりだね……成瀬 京君。



「ねぇ、京ちゃん」

『…京ちゃんって何だよ』

「呼び方なんて何でもいいでしょ。今の女の人友達?」

『ただのセフレ。まぁ今日で何の関係もなくなったけどな』



セフレって……。


いつからこんなにチャラくなっちゃったんだろう。



「じゃああの子のメモリ消して、代わりに私の連絡先登録してよ」

『は?』

「は?じゃなくて!!ほらッッ」



私は携帯を取り出し京ちゃんに笑顔を見せた。


相変わらず京ちゃんは面倒臭そうにしている。







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