Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
昴先生が足を止め、目の前には京ちゃんのいる病室のドアがある。


不思議と心は穏やかで、ドキドキする感じはなかった。



『10分たったら迎えに来るね』

「はい」



ドアのセキュリティを解除すると自動的にドアが開き、私は自分で車椅子を動かし中に入った。


静かにドアが閉まり、車椅子をそっとベッドの側に近づけた。


勿論電気は消えていて、カーテンも閉められている為部屋の中は真っ暗だ。


目が慣れてきた頃、京ちゃんの気持ち良さそうに眠っている、綺麗な顔がハッキリと見えてきた。


少し痩せたかな?


でも病的な感じじゃなくて、元気そうに見えた。


少し手を伸ばせば触れられる距離にいるのに、私は触れる事ができなかった。






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