Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
心地のいいお母さんの腕の中で目を閉じている私は、今にも眠ってしまいそうなくらいフワフワした感覚の中にいた。


気持ちよくて、このまま眠ってしまおうと思った。


だけど、お母さんは私から体を離し柔らかい手で私の頬を包みこんだ。



”まだ眠ってはダメよ”

”…どうして?”

”お父さんたちが心配しているから”



私にはお母さんの言っている意味がよく分からなかった。


首を傾げるとフワッと優しい笑顔を見せるお母さん。



”お母さんは会ったことはないけど、真由さんと海ちゃんにお父さんの事を宜しくお願いしますって伝えくれる”

”……うん、伝える。私ももう…お父さんとは一緒にいられないもんね”



私の頬を優しく撫でると”そこの扉を出たらお父さんたちが待ってるわ”と言われ私は立ち上がった。


さっきまではなかったはずの空間に、いつの間にか白の大きな扉があった。


近づくと扉は自然と開き私は外へと足を踏み出した。


最後に振り返るとお母さんが笑顔で口を開いた。



”お母さんが傍についてるわ”



私は笑顔で返し、もう振り返らなかった。






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