Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
私はお母さんが言っていた事を思い出し、思わず笑ってしまった。



『まりあ?』



お父さんは泣きそうな顔から不思議そうな顔になる。



「夢を…見たの」

『どんな夢を見ていたんだい?』

「天使に…なった、お母さんと会ったんだ、よ」



力が入らない体を奮い起こし、私はお父さんに手を伸ばした。


私の動きに気付いたお父さんは直ぐに手を握ってくれた。



「眠ろうと、したら…お父さんたちが心配、してるから…まだ、寝ちゃダメって言われた」

『ッッお母さんの言うとおり、みんな凄く心配していたよ』



お父さんの目には涙がたまり、今にも零れ落ちそうだ。


お父さんの少し斜め後ろに立っている真由さんはもう既に泣いているみたい。



「…真由、さん」

「な、何?」



海を抱えた真由さんは、涙を拭いながら近くに歩み寄ってきてくれた。





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