Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
◇第五章◇

ピンクの手紙

「洗面所は終わった?」

『あぁ』

「抽斗の中は?」

『あぁ』

「バスルームは?」

『あぁ…ってお前うるせぇよ!!お前は俺のお袋か!!お袋より口うるせぇ』



俺の言葉にムスッとした顔を向ける音葉。


お袋と音葉に手伝ってもらいながら、病室に置いていた私物をバッグに詰め込んでいる。



「こらこら、こんなおめでたい日に痴話喧嘩しないの」



お袋になだめられながら忘れ物がないか最終確認をした。


俺は今日退院する。


こんな日でさえ親父は顔を出さない上に連絡すらない。


あいかわらず仕事をしているらしい。





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