Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
俺の背中に手を置いたまま泣いている音葉。


今の気持ちが言葉にならないとでもいうように、嗚咽交じりにただただ泣いている。



『…ロビーで、まりあと会ったのか』



音葉は俺の言葉に頷くだけ。


俺は海に目を向け、音葉は下を向いている。



『いつ…話したんだよ』

「まりあッッちゃんが、きょ、うの病室ッに行かなくなったあッと……」

『……そっか』



その言葉を聞いて俺の目からはまた涙が零れ落ちた。


何度もあの時の事は後悔した。


でも、今ほど後悔したことはなかった。


俺は財布の中に入れていた堀口先生から貰ったメモを取り出し、番号を携帯に打った。


携帯を耳に当てると呼び出し音が鳴り響いていた。


その音が酷く大きく聞こえもしたが、虚しくも聞こえた。





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