Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
『成瀬君は緊急を要する患者で、長い間順番が回ってくるのを待っていた』

『…………』

『まりあちゃんとの体重差も移植するにはギリギリだったし、何より移植をするならできれば同性の方が好ましい。だけど、まるでまりあちゃんが成瀬君を選んでいるかのように、成瀬君との相性が凄く良かったんだよ』

『ここ…に、まりあ……が?』



そっと自分の胸に手を置くと、心臓がドクッドクッっと規則正しく動いている。


まりあの心臓の音……。



『病気のせいでご飯をまともに食べられる状態じゃなかった。それでも、どんなに気分が悪い日でも必ず一口はお腹に入れるようにしていたんだよ。病気の部分意外元気でいたいからって……』



何を言っていいのか分からない俺の代わりに、音葉が口を開いた。



「まりあちゃんは…いつから病気だったんですか?」

『初めて病気が発覚したのは小学校6年生の時だったみたいだよ。その時診断された病名はグレード3のグリオーマ…つまり悪性の脳腫瘍だね』

「その時から病気と闘ってたんですか?」

『成瀬君のお蔭で手術を受けて、術後も辛い化学療法や放射線治療を受けて完治したんだよ』



堀口先生の言葉に俺は顔を上げ、堀口先生の顔を見た。



『まりあちゃんは展望室で成瀬君と会わなかったら、手術は受けていなかったと言っていたよ』

『あの…時の……』







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