Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
夜に病院の展望台で会った女の子。


まさか…あれがまりあだったなんて……。



『いつから…治らないって分かったんですか』

『まりあちゃん本人から緩和治療にしたいと言われたのは、成瀬君が入院して暫く経ってからだよ』

『そう、ですか……』

『再発したまりあちゃんの病気は以前よりも悪化していた。グレード4のグリオーマになていたんだよ』



いつも笑っていたまりあからは、そんな病気を抱えているなんて全く分からなかった。


俺なんかより、死との恐怖と戦ってたまりあ。


どんな思いで俺を励ましてくれていたんだろう……。



『治療を頑張れるのも、元気になれるのも成瀬君のお陰だって言っていたよ』

『そんなはずッッないです…俺はッッ何も………』

『大好きな君がいてくれるだけでまりあちゃんは幸せだったんだよ。成瀬君の文化祭に行く日も大変だったんだよ』

『文化祭、ですか?』



そのときの事を思い出しているのか、少し苦笑いになっている堀口先生。






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