Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
今ここで、こうして堀口先生から話を聞いているけど、正直まだまりあがいないという実感がない。


認めたくないんだと思う。


認めることが怖くて堪らない。



『堀口先生、また…話を聞かせてもらいに来るかもしれないんですけど…いい、ですか?』

『勿論だよ』

『ありがとうございます』



立ち上がったが、音葉は立ち上がろうとしない。


そんな気力もないのかもしれない。


俺は音葉の腕を掴み、無理矢理立たせた。



『歩けるな?』



音葉は頷くだけだった。


音葉を支えながら入り口まで歩いた時に、以前見た夢の事を思い出した。


まりあにキスされた夢の事を……。


ばかげているとは思ったが、俺は振り返り堀口先生に向かって口を開いた。





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