Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
『まりあが、会いに来てくれた夢を見たんですけど…あいつ、俺の部屋に来たことってありますか?』



VIPの病室は各部屋セキュリティーがかかっているから、勝手に入ってくることはできないが、あいつならやりかねないなと思った。


堀口先生は申し訳なさそうに口を開いた。



『成瀬君が寝ている時間に、まりあちゃんは一度だけ成瀬君の病室に行っているよ』

『鍵は……』

『僕が勝手に解除したんだ…医者としてあるまじき行為だ。勝手な事をしてしまって申し訳ない』



堀口先生が深々と頭を下げた。


でも、あれは夢じゃなく本当にあった出来事なんだと思うと、嬉しくて柄にもなく泣いてしまいそうだった。



『頭を上げて下さい』



頭を上げた堀口先生に俺はお礼を言った。



『ありがとうございました』



そして、今度は俺が深く頭を下げた。


流れ落ちる涙を拭いながら。





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