Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
帰りのタクシーの中ではお互い外を見ていて、会話もなかった。
運転手も俺たちの空気を感じ取ってなのか、話しかけてこない。
沈黙を破ったのは、泣き止んだばかりの音葉だった。
「また、あそこの海に行こうよ」
『……あぁ』
「今度は花束持ってさ」
『……そうだな』
花束か……。
まりあは何の花が好きなんだろうとふと思った。
俺はあいつのことを全然知らないんだな……。
窓の外を眺めながら、誰にも気付かれないよう涙を流した時、手に温もりを感じた。
そっと手元に目線を向けると、俺の右手の上に音葉の左手が重なっていた。
俺たちはお互いの温もりに安心しているかのように、タクシーを降りるまで手を重ねていた。
運転手も俺たちの空気を感じ取ってなのか、話しかけてこない。
沈黙を破ったのは、泣き止んだばかりの音葉だった。
「また、あそこの海に行こうよ」
『……あぁ』
「今度は花束持ってさ」
『……そうだな』
花束か……。
まりあは何の花が好きなんだろうとふと思った。
俺はあいつのことを全然知らないんだな……。
窓の外を眺めながら、誰にも気付かれないよう涙を流した時、手に温もりを感じた。
そっと手元に目線を向けると、俺の右手の上に音葉の左手が重なっていた。
俺たちはお互いの温もりに安心しているかのように、タクシーを降りるまで手を重ねていた。