Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
『お前危ねぇだろうがよッ!!』

「空綺麗だよ」



空から目線を外さないままそう音葉が呟いた。


俺も空に目を向けると、真っ青な色が果てしなく広がっていた。


雲一つない晴天だ。



「大学では何するの?」

『親父の会社継ぐために必要なこと』

「継ぐ気ないって言ってたのに気が変わったんだ」



継ぐ気もなかったし、親父も俺には継がせる気はなかっただろう。


今も継がせる気はないのかもしれない。



『来月親父と話してくる』

「…2人で?」

『親父には何も話してねぇんだよ』

「そっか…ちゃんと話ができたらいいね」

『親父に何て言われようと、ちゃんと向き合ってくる』



俺は自分の病気を理由にして、親父から逃げてただけだ。


親父に興味のないような目を向けられることを怖がってるだけだ。


でも、このまま逃げ続けるわけにはいかない。


俺に新しい命をくれたまりあの為にも。





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