Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
入院は一週間後に決まった。


入院すると、外出も外泊も許可を取らなければいけないから面倒くさい。


ただ私は自由に動き回る事ができるこの体があることは幸せだと思う。


お父さんが院長ということもあって、小さい頃から病院には来ていた。


元気になって退院していく人、亡くなってしまう人、病院での生活を余儀なくされている人…色んな患者さんを見てきた。


病院にはたくさんの喜びや哀しみ、幸せや不幸…たくさんの感情が渦巻いている。



「診察終わったよ」

"『分かった。手が空き次第ロビーに向かうから、少し待っていてくれるかい?』"

「うん、無理しなくていいからね」



診察が終わると、いつもお父さんと会って話をしている。


病状や今後の事を話すんだけど、普段忙しくて話ができない分、この日に色んな話もしている。


私はいつもみんなを見渡せる場所に座っている。


たとえ知らない人たちでも、周りにたくさん人がいると思うと、不思議と心が落ち着くから。






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