Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
ボーッと周りを見渡していると、受付でお会計している人を見て目を止めた。


あの後ろ姿……。



「………やっぱり」



支払いを済ませ、振り向いた人は京ちゃんだった。


どうか、私に気付きませんように。


心ではそんな事を思いつつ、勿体なくて京ちゃんから目を反らせなかった。


でも、出口に向かって歩き出した京ちゃんはこのままだと間違いなく私の前を通りすぎる。


さすがにバレてしまうと思ったから、私は顔を下に向け無駄に床を見詰めた。


私の目の前を通りすぎる京ちゃんの足が見えた。


良かった…気付かれなかったみたい……。








『まりあ?』



ホッとしたのもつかの間で、京ちゃんにバレてしまった。


通り過ぎたはずの京ちゃんは体の向きをかえ、私の元へ歩いてきた。






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