Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
病院に着いたのは面会時間終了の10分前だった。


そのせいか、病院内は閑散としていて雰囲気は暗かった。



『てか今更だけどいいのかよ?俺らは中にいて』

「大丈夫だよ。ちゃんと許可はもらってるから」

『許可貰ってるって…誰にだよ』

「お父さん」



そう言えばこの病院の先生だっつってたな。


まりあのやっていることを許して貰えてるってことは、まりあのお父さんは結構偉い立場なんじゃねぇの?


小児科のフロアに着くと、家族と離れたくなくて泣いている子供や、寂しそうに俯いている子供、無理に笑って見送っている子供、とにかく色んな子供がいた。


子供たちに共通して言えることは、誰一人として心から笑っている子がいないって事だ。


小児科のフロアから保護者がいなくなると、子供たちの心が一気に沈んでいくのが分かった。






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