Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
絵本を読み終えた後も、子供たちと積木や人形で遊んでいるまりあ。


気付けば子供たちは声を出して笑っていた。


俺は特に絡む事なく、その様子を見ているだけだ。


まりあの存在に、今ここにいる子供たちは少なからず救われているんだろうな。



『こんばんわ』



声のする方に顔を向けると、車椅子に座っている男の子がいた。



『こんばんわ』

『お兄ちゃんはまりあお姉ちゃんの大切な人?』

『大切な人?いや、ただの友達だよ』

『そうなんだ』



まりあの大切な人って何だ?


好きな男…それとも彼氏か?


そう思うとなんだか落ち着かない気分になった。



『まりあの大切な人ってどんな人?』

『お日様みたいでいつも元気をくれるんだって。その人からもらった元気を、僕たちにもわけたいって言ってくれるんだ』

『へぇ…』



俺はそんな話聞いた事ねぇし。


そいつにもらってる元気で、俺の前でもあんなにニコニコ笑ってるのかと思うと、無性に苛ついた。






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