Maria ~私の心を貴方に捧ぐ~
「手術だけじゃない…ッッその後の入院だって、京ッちゃんとの思い出があったから、頑張ってこれた!!」

『まりあちゃんの気持ちは、僕も先生方もよく分かってるよ』

「分かってないッッ!!治療してるのにッッ悪化してて、それでも笑っていられるのも、治療を続けッッられるのも、頑張れば京ちゃんと会えるって…好きなッッ人と会えるって思えるからだもんッッッ」



涙でぐちゃぐちゃでどんな酷い顔をしていようが、そんな事どうでも良かった。


先生やお父さんに言われなくても、自分の今の状態がよく分かっているからこそ、少しでも多く京ちゃんに会いたかった。



「…って……さぃ………」

『まりあちゃん?』

「出てッッって下さい…今は一ッッ人にして下、さぃ……お願い…します……」



布団を頭から被り、声を圧し殺して泣いていると、ドアが開き出ていく足音が聞こえた。


布団についた自分の温もりに包まれていると、不思議とお母さんが慰めてくれているような錯覚に襲われた。


会いたいよ…京ちゃん………。






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