あなたにおくる唄
黙って見つめたまま動かない中田を
見てか、集まっていた人たちはようやく
二人が見つめ合っていることに
気づいた。
「なに?お前らそーゆー
カンケーだったのー!?」
おどけた声が人垣からあがった。
その声で我に返り、
その言葉の意味を理解した。
「な、なに言ってるの...」
という私の声は、
後から続く冷やかしの声でかき消されてしまった。
うぅ...
やっぱり私なんかの話は誰も聞いてくれないや...
追い打ちをかけられたようで
しょぼくれた私をよそに、
相変わらず冷やかしの声は止まない。
「愛しちゃってるのかよー!!」
「ヒューヒュー」
愛とか...
もういい加減にしてよ!!
ぎゅっとひざに置いていた拳を
握りしめた。