あなたにおくる唄


「そうだよ」



一瞬にしてその場は静まり返った。




誰?
今の、誰が言ったの?



おそるおそる顔をあげると、
中田が私に言った。

「やっと会えた。中原和紗」


なんで、名前を知ってるの?
『やっと会えた』って?


「これで言えるよ。俺の気持ち」


『俺の気持ち』...?



何を言ってるの?
この人...?

本当に訳が分らなかった。



混乱状態の私はお構いなしに、
中田は言った。





「好きです。俺と付き合ってください」










えぇーーーーーーーーーっっ!!???




人垣から一斉にあがる悲鳴に近い
驚きの声。

でも、誰よりも驚いたのは私だった。

えええぇぇぇ⁈



この時、もう唄は始まっていたんだ。


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