愛を知った時
その後千夏はバイトに行った。

時間が有った私は生地屋さんを回り、本屋さんに寄った。


本屋さんを出る頃には、空が赤く染まり始めていた。


夕日がまん丸で、思わず

「きれい…」

と呟いてしまった。



私の頭には、昨日のコウさんの顔が映し出されていた。



香さんの真っすぐな瞳が夕日とリンクする。




ん~~もう!!!忘れなきゃ!!!




私は頭を左右に振り、香さんの顔を忘れようとした。



よし、と気合を入れ前を見たら…



?!?!?!



見覚えのある顔…いや、まさか…



幻想?蜃気楼?



私の目に映るのは、香さんのスーツ姿だった。



『うそ……』


小さく呟く。



そんなことはお構いなしに香さんは、私に声をかけてくる。

「あれっ、結花ちゃんじゃない??」


私は慌てて

「香さん!!!昨日はありがとうございました」


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