愛を知った時
「おはようございます」
「おはよう、広瀬」

俺は一通り挨拶をしてから席につく。

「広瀬君、ちょっと」

出社早々、何だか大変そうだな……

「はい、宮内先輩」

そういって先輩のデスクに向かった。

「広瀬君、今日手強いから気を付けてね。 あと、書類確認宜しくね」

「分かりました」

そう言われた後、今日の仕事の打ち合わせをした。

宮内先輩は入社8年目のベテラン社員。
女性なのにかなりのやり手なのだ。

今回は取引先が手強いらしく、2人で組んで向かう事になった。

「約束は3時だから、それまでに資料作っておいてね」

「わかりました。」

業務連絡も終わったから席に戻り、急いでPCを開いた。

―――――ポン

振り返ると、同僚の佐々木が椅子に座りながら寄ってきた。


耳元で

「今日、宮内先輩と?」

「ああ。」

「ヤッベ~良いなぁ」

「何がだよ、仕事だぞ!!」

「本当に良い女だよなぁ」

本当にコイツは…何考えてるんだか。

佐々木は同期なんだけど、かなり器用に仕事をこなす。
多分同期の中でも1番仕事が出来る奴なんだが……


何と言っても軽い。。。


よく言えば要領が良い。


「はいはい、早く席に戻れよ」

「ったく、広瀬はいつも堅いよな」


『お前が軽過ぎなんだよ!!』


と、心で突っ込みながらPCで資料作りを続けた。

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