愛を知った時
――――ガラガラガラガラ



「広瀬~きた……ぞ」




矢田さんが入って来る。






「!!!!!!!!!!」





結花は急に立ち上がり、顔を真っ赤にしながら




「じゃあ、又明日来るね!」



そう言って矢田さんに会釈をし、足早に走り去った。

俺は、結花が閉めていったドアを見つめていた。


一つため息をつくと、

「矢田さん、タイミング悪いですよ。せめてノックしてください。」


「すまんなぁ。それにしても広瀬、病室はあかんやろ~~」


「……良いんですよ」



矢田さんはニヤリと笑い、


「お前、ベタ惚れやな」





………図星………





俺は真っ赤になってしまう。

さっきまで結花が座っていた場所に、ドカッと腰掛けると


「仕事と全然違うんやな。」

と言った。


「はぁぁぁ、俺どうなってんだろ…こんなの初めてですよ」


俺はそんな矢田さんにぼやく。


「相当なんやなぁ~~」


矢田さんは楽しそうに俺を見てる。


「矢田さん楽しんでますよね」

「そうやけど?」

俺は、もう一度大きくため息をついた。


「結花ちゃんやったっけ?かなりいい子やな。」


「はい。」


「後は、お前次第なんちゃうんか?」



そう俺に言うと、差し入れのお菓子を開け始めた。


「これうまいんやで~」

「それ、俺にくれるんじゃないんっすか?」

「セコイ事言いなさんなや。なっ!」


矢田さん…ついてけないっす(笑)

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