愛を知った時
受付のおじさんが

「予約かい?」

と聞いてきた。



「あの、こちらに梅沢さんっていらっしゃいますか?」


「梅ちゃんかい。居るが…知り合いかい?」


「はい。一応…」


「そこにかけてまってな~」


そう言って奥に行った。


数分後、陽気な梅ちゃんこと梅沢さんが出てきた。


結花の顔をみるなり


「あ~あの時の!!!」

「覚えていらっしゃいますか!」


「当たり前やないかい。タクシーの運ちゃんは客の顔をわすれたりせーへんさかい」


俺は深々と頭を下げて


「この度は色々ありがとうございました」


そう言って、会社の近くで買ったクッキーを渡した。


「おおきに。噂の彼氏さんかね~お元気になられてまぁ~良かったわな~」


「今日退院しました。」


「ほなおめでたいなぁ」


そう言ってさっきの受付のおじさんに

「キムさんお茶持ってきたって~」

「梅沢さん気にしないで下さい。後、お金もお支払いしないと…」

「え~のえ~の。クッキー頂いたさかいこれでチャラや」

「梅沢さん……本当にありがとうございました」



俺達は梅沢さんと少し話してから、梅沢さんのタクシーで会社まで送って貰った。



「ほな、又大阪に遊び来はる時は連絡くれはったら、なんぼでも迎えに寄るでね~ありがとう」



そう言って去って行った。
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