愛を知った時
----土曜日

俺は焦っていた。
商談が長引いてしまっていたのだ。


何で今日に限ってなんだよ!!

難しい商談だとは思っていたのだけど、思いの他苦戦したのだ。


時計はもう6時を回っている…


遅刻なんて最悪だよな。。。


とりあえず駅までダッシュした。

どう頑張っても、地下鉄とJRを乗り継いで30分はかかる。



しかも携帯は圏外…



何でこんな日に!!!!!

そう呟いても仕方がない




結花ちゃん待ってるだろうなぁ~~~

ってか、怒って帰ってるかもしれないよな…



俺は新宿駅のホームに降りるなり電話をかけた。


「ごめん!!!!まだ居る??仕事が長引いちゃって!!!」

「まだ居ますよ~」


少しホッとする。

「俺も今付いたからすぐ行くね!!本当にごめんね」

「大丈夫ですよ。待ってまぁす」

そう言って電話を切った。



改札を出ると、不安げにキョロキョロ見回している子が居た。

結花ちゃんだ。

走って傍に行き肩を叩く。



----ポン



振り向く結花ちゃん。

「本当にごめんね。かなり待ったでしょ」

「大丈夫です。。。でも、約束忘れちゃったかと思って不安になっちゃいました。」


俺を見るなりパァッと顔が赤らむ。

上目遣いでそんな事言われた俺は完全にハマッていた。




可愛い…




---ポンポン




俺は、結花ちゃんの頭を撫でてから

「結花ちゃんとの約束を、忘れるわけ無いよ。仕事が終わらなくて……直接来ちゃったから電話繋がらなかったでしょ」

「…はい」

「こんな所で立ち話もなんだし行こうか」

俺達は、横に並びながら歩き出した。
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