愛を知った時
――――ブゥゥゥゥン




不意にバイクが止まった。

香さんがゆっくりバイクから降りる。



ここは、家じゃないよね。。。



香さんは『降りて』と手で合図する。


私は、ゆっくり気を付けながらバイクから降りた。


香さんはメットを外し


『お散歩しよっか』


と言った。




メットをシートの下に入れて私達は歩き出した。

少し歩くと木々が生い茂った所から急に視界が開けた場所に出た。

そこは、少し整備されてるもののベンチが3つと、安全の為か柵が立てられているだけの場所だった。



「きれい」



そう、そこは横浜の夜景が見下ろせる場所だったのだ。




まさに絶景。




無数の星が地上に舞い降りた感じだった。



「意外と良いだろ~~昔ツーリング中に見つけたんだ♪」



香さんは子供みたいに得意気に話す。



そして、照れながら




「結花ちゃんに見せたくて……」と。





私はポロポロと涙がこぼれ落ちた。
< 69 / 397 >

この作品をシェア

pagetop