夏の約束。
フユコさんとあたし、2人で船乗り場へと向かう
蒼はいない
…ねぇ、どうして来てくれないの?
中途半端で終わらせたくないよ、あたし…
「…羽美ちゃん。蒼、何か言ってた?私のこと」
「?いえ特に」
親がどうこういってたけど、言わない方がいいよね…
「蒼ね、あんなんだけど優しくて誠実な子なのよ、実は。羽美ちゃんにごちゃごちゃ言ったり何だり、学校では問題起こしたりしたけどね」
「はぁ…」
あれで誠実って、あたしには見えないけど…
親が子供のこと一番に知ってるわけだし、きっとあたしの知らない蒼を、この人はよくわかってる
…なんだ、母親はちゃんと思ってくれてるじゃん
「でも…蒼には寂しい思いさせちゃってるかな」
「…?」
「だから羽美ちゃんが支えられると思うの!」
へ?
「あの、それは―」
「羽美ー!!!!」