雪解けの頃に
 その手紙は、こういう書き出しで始まっていた。



『意識がまだあるうちに 君に手紙を残すことにする。』




「―――えっ?!」

 手紙の書き出しを見た瞬間、理花の動きが止まった―――同時に思考も。


 その文字に眼を奪われたまま、微動だにしない。

 なのに、勝手に体が震え出し、乾いた紙の音がやけに耳につく。


「な……によ、これ……?」


 カサッ。

 カサカサッ。

 ガサガサガサッ……。

 
 震えは大きくなる一方。

 


 この先書かれている事を知りたくない。
 
 
 理花はそう思った。

 


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