雪解けの頃に
「雄一の方が私のことを分かってるなぁ」

 それがちょっと悔しかった。

 でも、その何倍も嬉しかった。
 

 早くお礼が言いたくて、でもニューヨークと日本の時差を考えたらそれも出来なくて……。
 
 日本が朝になるまで、理花は部屋の中をうろうろと歩き回り、テレビを点けてはすぐに消したり。

 落ち着かない様子で時間をつぶしていたのだった。

 そして日本時刻が8時になると、電話に飛びついて雄一の携帯にかけたのだった。



 たくさん、たくさん、話をした。



 もちろん真っ先に理花の口から出たのは、マフラーのお礼。

 あまりにも嬉しくて、暖房がしっかりきいている室内だというのに、マフラーを巻いたまま電話をしていた。

 まるで雄一に包まれているみたいに、ふんわりと暖かくて。

 熱かったけど、そうしたかったから。

 温もりを手放したくなかったから。



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