雪解けの頃に
 会話の途中に私が
「ふぅ……、ふぅ……」

 と、やたらに息を継ぐから、変に思った彼が私に聞いてきた。

「どうしたの?具合悪いの?」

「あ、ちがう。熱いから

 マフラー巻いてるし、暖房も入ってるし」

 そう話したら、雄一に大笑いされたっけ。
 
「だったら、暖房を切れば良いのに」
 
 と、笑う合間に言われた。

「……気がつかなかった」
 
 と、私が言ったら、また大笑いされた。


 でも、私の大好きな雄一は本当に優しくって。

「そこまで大事してくれているのなら、マフラーを送った甲斐があったよ」
 
 優しく、優しく、私を慰めてくれる。
 
 電話では顔が見えないけれど、きっと雄一はいつものように優しく微笑んでくれている。
 

 形の良い目を細めて、首を少しだけ右に傾けて。

 春の日差しのように、穏やかに微笑んでいるはず。


 私の大好きな笑顔。
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