雪解けの頃に
 理花はゆっくりと起き上がり、ベッド脇のサイドボードに置かれた写真立てに目を移す。

 付き合って初めて迎えた年のクリスマスに撮った写真。
 
 二人がぴったりと肩を寄せて並んでいる―――はにかんだ笑顔と共に。

 嬉しいくせに、少し困ったように笑う雄一独特の笑顔が大好きだった。



 理花は涙を手でぬぐい、写真に向かって微笑んだ。


 ありがとう、雄一。

 あなたの気遣いのおかげで、私は無事に任務を終えることができたわ。

 最後までやり遂げることが出来たのは、雄一がついていてくれたからよ。

 私だけの力じゃないわ。


 私にとっても、あなたとの電話が心の支えだった。

 いつも雄一が励ましてくれたから。

 どんなに仕事がつらくても、私は逃げ出さずに済んだのよ。

 あなたがいたから……。

 雄一が支えてくれなかったら、きっと私は自分の夢をあきらめていたわ。


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