雪解けの頃に
「仕方ないわね。まぁ、いいわ」

 やれやれ、と苦笑いしながら娘を見る。

 見合わせて、理花もふふっと笑う。




「やっぱり我が家は良いなぁ。

 なんか、いるだけで落ち着くもん。

 8ヶ月は長かったぁ。」


 まめな性格の母親のおかげで、家の中はいつもきちんと片付いている。

 そして、季節の花や小さな額縁などが玄関に飾られていて、品があって落ち着く。

 理花はほんのりと花の香りが漂う空気を胸いっぱいに吸い込んだ。



 久々に会った娘の元気な様子を見て、母親は嬉しそうに目を細める。

「それで、向こうでの仕事はうまく言ったの?

 ……まぁ、お茶でも飲みながら話でもしましょうか」

 
 理花はジャケットを脱いだ。

「ずっとお母さんが入れるお茶が飲みたかったのよねぇ。

 途中でお団子買って来たから、一緒に食べよ」
 

 小さな包みを母親に手渡す。
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