――カラン

と言う湿った音がし、場が夜
と言う独特な世界を
再び形成し始めた。

その輪が、端から端まで
伝う前に
川田は、口を開かなければならない
と感じた。

「続けて下さい」

これしか言葉が見つからない自分を呪ったが

今はそれで良い気がした。

「この歳になると、
多弁になってしまうものでね」

「御迷惑ですかね」

「いやいや、そう言うつもりでは…」
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