―――
――

川田の、酒を持つ手は震えていた。

向かいの席や、隣の席で呑気に笑い合っている
仲間は

皆、襟付きの
皺一つ目立たない
紺色の サラリーマンスーツである。

ネクタイをしていない所を見ると
流行に乗り遅れていない事だけは

はっきりと伺える。

「どうした?もっと飲めや」

と、隣席の野瀬から
一言掛けられる。
< 4 / 28 >

この作品をシェア

pagetop