声が出せたなら…

職員室のドアを少し開けると担任と、大海の姿が見えた。


「お前、最近坂田と仲良いな?」



え…あたしの話?


あたしはドアを全開にするのをやめ、廊下から耳を澄ませてみる。


「あぁ、仲良いですよ」


「助かったよ、ほんと。
最近坂田も明るくなったし。
お前に頼んでよかったよ!」



…どういうこと?


そんなことないですよ〜なんて言いながら照れ笑いする大海。



どういうこと?


大海があたしに近付いたのは…先生に頼まれたから?



あたしに声を出させてやるって言ってたのも嘘?



あの笑顔も全部…?

< 20 / 33 >

この作品をシェア

pagetop