声が出せたなら…
「俺、小谷田大海(コヤタヒロミ)。
あつみちゃんってさ、声出ないんだよね?」
こんなにストレートに聞いてくる人初めて!
しかも、ニコニコ笑顔。
この人、なに考えてるんだろ…。
あたしは携帯をとり出し、メール作成画面で文字を打ち、小谷田大海に見せる。
「『声なんか出ない。どうせ出せない。それより何のつもりであたしに近付いてきてるの?』」
あたしの打った内容を呟きながら読んでいる小谷田大海。